スカイラインV37トルコン太郎でATF交換
ATF圧送交換のご依頼です。お車はスカイライン200GT-t(ZV37) 走行93000キロ。
いつものようにパーツイラストを見ながら、ご依頼内容の見積もりをしていると、ふと気づいたことがありました。

あれっ、どこかで見たような…。なんだかメルセデスのトランスミッションに似ています。

よくよく調べてみるとエンジンとトランスミッションは、メルセデス・ベンツに搭載されているダイムラー製の物です。どうして採用されたのかは割愛させていただきますが、日産とダイムラーの関係はより深いということでしょう。

さてATF交換自体はメルセデス・ベンツの7Gトロニックと同じですので、特に問題ありませんが、部品の発注をして伝票を見ると、なんとメルセデスの価格より大幅に安いのです!届いた部品はメルセデスと変わりないようですので、日産とヤナセで部品の価格がここまで違うとは…。

余談はこれくらいにして、それでは作業を進めてまいります。
リフトアップをして下回りのチェック。いつも見るオイルパンの形状です。
ドレンボルトを外してフルードの排出。
内部にオーバーフローパイプがありますのでフルードが完全に抜き取ることができません。このオーバーフロープラグを専用工具を使用して中に押し込みます。
更にフルードの排出。
新油と旧油の比較のため、少し保存しておきます。
オイルパンの取り外し。黒い四角い箱がATストレーナーです。
アイドリングストップ時用のATポンプです。これを外すと…
コンバーターのドレンにアクセスできるサービスホールがありますので、クランクシャフトを回してドレンが下に来るよう、調整します。
コンバーター内のフルードを排出。これができる構造だと、約9割のフルードが排出でき交換効率が格段にアップします。でもサービスホールからは緩めることが難しい位置に、ドレンがあるケースもあります。
しっかり抜き取った後はドレンブラグを新品に交換。
ATストレーナーの比較。
フィルターは不織布タイプ。汚れはひどくヨレヨレになってました。
新品は気持ちがイイですね。
バルブボディ下部はできる限り洗浄してATストレーナーを設置。

オイルパンマグネットには、大量の鉄粉が吸着さていました。

キレイに汚れを取り除き、元の位置へセット。
新品のオーバーフロープラグをはめ込みます。
オイルパンも洗浄して新品ガスケットに交換。
取り付けボルトはアルミ製。再使用不可部品ですので新品と交換。
オイルパンを元通り組み付けます。
車種別専用ツールを使用してトルコン太郎と接続。
日産の整備書を見ると指定フルードは「マチックフルードG」。超低粘度、サラサラなATFです。

トランスミッションは7Gトロニックですので、モチュールのATFⅥが使用できますが、このスカイラインに関しては適合確認ができていません。

7Gトロニックでは、MB236.14(赤色)、MB236.15(青色)が使用されていて、どちらの品番にもATFⅥ(赤色)が適合します。問題はないと思いますが、フルードの色違いもありますので、ここは純正フルードで行こうとおもいます。

でも純正と言っても中身は「フックス TITAN ATF 7134 FE」。こちらを使用して圧送交換を進めます。
約8リットル抜き取りができました。
抜けた分のフルードを充填して圧送交換を始めます。

1回目の圧送交換が完了しました。続けて2回目に進みます。
圧送交換の流れは一定量の交換後、自動的に10分間のクリーニングが始まります。
クリーニングが終わり、そしてまた圧送交換をします。これを繰り返しながら出来るだけ新油に近い状態になるように持っていきます。

濃い青色フルードのため目視での効果を見ることは難しいですが、ほぼ全量のATFが入れ替わっています。
油量調整は温度を計測しながら行います。
規定温度になったらドレンボルトを外して、流れ出てくるフルードが滴下状態になれば完了です。
ご依頼のあったSOD1-Plusの添加。ATF総油量に対して7%。
添加量分のATFを抜き取り、SOD1を注入します。
注入後はドレンボルトガスケットを交換して完了です。
走行テストを行い、変速フィーリング、加速などのチェック。共に気になるところはなく、すこぶる快調です。
最後にリフトアップをして、オイル漏れや取り外した部品の点検をして完成です。
診断機の検査結果も問題ありません。
ご入庫ありがとうございました。
オートプラネットでは丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。

急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにもATF圧送交換作業の期間は、3日から1週間程度のお時間をいただいております。

どうぞご協力お願いいたします。

● 車の修理をしたいけど迷っている方
● どこのお店に依頼していいかわからない方
● 初めての問い合わせで迷っている方

経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。

参考データ・作業内容

スカイライン 200GT-t (ZV37)
施工時走行距離: 93,000 キロ

<ATF圧送交換一式>

・ATオイルパンガスケット交換
・ATFストレーナー交換
・オーバーフロープラグ交換
・ATオイルパン固定ボルト交換
・オイルドレンプラグシールリング交換
・トルクコンバータードレンボルト交換
・ATF(フックス TITAN ATF 7134 FE)20L
・SOD1-Plus

国産車に限らず輸入車でも対応可能な車種は多々ございます。メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなど幅広く対応していますので遠慮なさらずにお問い合わせください。

この記事を書いている人

オートプラネット篠塚真介

オートプラネット篠塚真介

埼玉にあるオートプラネットで働くメカニック。
日々、大好きな整備や修理に明け暮れていて、とても充実しています。仕入先でみつけた素敵なクルマや整備・修理の内容を、自分のか細い語彙力で紹介していきます。
何ごとにも探求心のある人に憧れる。