メルセデスベンツSクラス/モーゼルS M55RSのATF交換
メルセデスベンツSクラスのATF交換のご依頼になります。
遠方の静岡よりお越しいただきありがとうございます。

事前のメール相談では、
「10回に一度くらいの割合で、エンジン始動直後にDレンジに入れると多少ショックを感じる事があったり、減速時に3速から2速へのシフトダウンが気になる時がたまにある」
とのことです。

今後も長く乗りたいので、症状の改善やトラブル予防も含めて入庫となりました。

ここで少し余談ですが、車体番号からSクラスと認識はしていましたが、お預かりしてビックリ。なんとメルセデスベンツのチューニングメーカーMOSEL(モーゼル)が手掛けたコンプリートカーだったのです。

エンジンをかけた時の咆哮は、まさに獣がほえたける、そのものでした!

搭載されるトランスミッションは7G-TRONICで最大受容トルクは735Nm。これだけの凄まじいパワーを受け止めているのですから、ATFの劣化もきっと早いはず。

走行距離は76000キロ。タイミング的にはちょうどいい頃合いです。

それでは作業に進みます。
リフトアップをして下回りのチェック。オイル漏れなど気になるような所はありません。コンディションは良好です。
ドレンボルトを外してフルードの排出。

さらにオーバーフローパイプを打ち抜いて抜き取ります。
圧送交換時に比較できるように少し保存しておきます。
オイルパンの取り外しができたところで、バルブボディとストレーナーが見えてきました。
メルセデスベンツ Sクラス S63 AMG MOSELトルコン太郎でATF圧送交換とバルブボディ脱着清掃
アルミ製の取付ボルトを外して、慎重にバルブボディを下ろします。
ソレノイドバルブを取り外して、一つ一つ丁寧に洗浄していきます。
メッシュ部分には異物で詰まり気味になっていることもあるので、念入りに洗浄。

キレイさっぱり気持ちがいいほどピカピカになりました、8個すべての洗浄が完了。
バルブボディを縦にすると、中からフルードがドバドバ出てきます。できる限り排出させた後に洗浄します。

いつもと見慣れない部品がついてます。。。

VGSカプラーのOリング、オイルガイドパイプを交換。ソレノイドバルブを元通りに組付けて、取付準備ができました。
ATハウジングの洗浄。入念に実施しています。

取り付けボルトは再使用不可となりますので、すべて交換。

外側も内部フィルターも真っ黒です。
新品は見るからに気持ちがいいものですね。
オイルパンにある鉄粉吸着用のマグネット。すでに飽和状態になりつつあります。
吸着していた鉄粉はキレイに除去。

オイルパンの洗浄後にオーバーフローパイプ、マグネットをセット。ガスケットはもちろん新品に交換です。
新しいストレーナーを取り付けて、、、
オイルパンの組付け。アルミ製ボルトは全部交換して取り付けます。
メルセデス専用アタッチメントでトルコン太郎と接続。
今回使用するATFはペトロナスのXP-4。強大なパワーを受け止めるには最適なフルードです。
メルセデスベンツ純正診断機を接続してATF油温を表示させます。
抜けた分のフルードを充填して圧送交換を始めます。

圧送交換の流れは一定量の交換後、自動的に10分間のクリーニングが始まります。
クリーニングが終わり、そしてまた圧送交換をします。これを繰り返しながら出来るだけ新油に近い状態になるように持っていきます。

向かって左が新油で右が現在トランスミッション内のフルードですが、ほぼ新油と同等になりました。

調整温度になったらオーバーフロープラグを外して、流れ出てくるフルードが糸状になればOKです。

SOD1-Plusも添加。油量調整は終わっていますので、添加する量を抜き取ってから充填。

それでは実際に走行テストで確認をしてまいります…

オーナー様が気になっていたエンジン始動直後のショックや、3速から2速のシフトダウンショックがすかっり解消されていました!

このように症状が解消したのは、やはりATFの劣化が影響が大きかったことになりますので、早め早めのメンテンナンスでトラブルを予防しましょう。

そして何より愛車が一番喜んでいると思いますし、運転するのも、より一層楽しいものとなってきますよね。
後日、オーナー様よりお手紙が届きました。

メルセデスベンツATF交換後の嬉しい感想

「シフトチェンジのスムーズさにはびっくり」
「まるで別の車のようなスムーズさに満足しています」

こんな感想をいただいて僕たち整備士にとっては嬉しいものですし、愛情をもって整備することで満足していただけました。

最後に診断機でシステムのチェックをして完成です。

ご用命ありがとうございました。

丁寧な整備を心がけておりますので、ひとつひとつの作業にどうしても時間がかかってしまいます。

急いで作業を行えばヒューマンエラーにもつながりますし、ミスを無くすためにもATF圧送交換作業の期間は、3日から1週間程度のお時間をいただいております。

どうぞご協力お願いいたします。

● 車の修理をしたいけど迷っている方
● どこのお店に依頼していいかわからない方
● 初めての問い合わせで迷っている方

経験豊富な整備士が適切なアドバイスをいたします、遠慮なさらずにお問い合わせください。

参考データ・作業内容

メルセデスベンツ Sクラス S63 AMG 4マチックロング MOSEL (W222)
施工時走行距離: 76,000 キロ

<ATF圧送交換一式>

・バルブボディ脱着清掃
・ATオイルパンガスケット交換
・ATFストレーナー交換
・バルブボディ固定ボルト交換
・ATオイルパン固定ボルト交換
・オーバーフロープラグ交換
・オイルドレンプラグシールリング交換
・オイルガイドパイプ交換
・VGSカプラーOリング交換
・ATF (ペトロナス TUTELA ATF XP-4) 20L
・SOD1-Plus添加

国産車に限らず輸入車でも対応可能な車種は多々ございます。メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなど幅広く対応していますので遠慮なさらずにお問い合わせください。